遠視とは、近視と反対に、光の焦点が網膜の後ろで結ばれてしまうため、ピントが合わなくなり、近くのものがぼやけて見えてしまうという屈折異常です。古代の人間は、ほとんどみんなが遠視であったといわれていて、現代でも、大草原や大海原で昔ながらの生活を続けている一部の部族でも、この影響が残っているそうです。しかし、現代の社会において、遠視になってしまうという環境は珍しいので、遠視の人の多くは、遺伝だと考えられています。
遠視の特徴としては、遠くはよく見えますが、近くがあまりよく見えないということです。遠視の場合、視力検査では視力に問題がないことが多いために、自分が遠視だということに気付いていない場合も多々あります。しかし、近くが見えないために、眼精疲労がひどく、疲れやすいです。
●遠視の種類
軸性遠視は、軸性近視の場合と同じで、水晶体や角膜による光の屈折に異常は無いのですが、眼軸が短いため網膜上で焦点を結ぶことができず、網膜の後ろに焦点が結ばれてしまうという状態です。屈折性遠視は、近視と逆で角膜・水晶体の屈折力が弱いため、網膜上で焦点をあわせることが出来ないので、網膜よりさらに奥にピントがあってしまう状態です。強度の遠視の場合近くだけではなく、遠くもよく見えなくなるので、注意が必要です。
●老眼とは?
遠視と同様で、老眼とは、近くの物が見えにくくなる症状のことを言います。しかし、老眼は、中年以後、誰にでも起こる生理的現象であり、病気ではありません。加齢に伴い、水晶体の弾力性が弱まることにより、調節力が十分に保てなくなった状態が老眼です。近視の人は、ピントがもとから手元にあるので、裸眼では老眼を自覚しづらく、遠視の人は若い年齢のときから、老眼症状を訴えることが多いです。
●遠視と眼鏡
遠視が軽度の場合、視力測定で1.0~1.5という良好な視力が出るので、ほとんどの人が、自分では眼が良いと思っています。しかし、この1.0~1.5の視力とは、眼の中で調節という作業をした結果であり、眼の良い人と比べてみると、実は、眼の中では、余分な調節をしてしまっているということです。その余分な調節を、一日中行っているのですから、もちろん、眼精疲労など疲れの原因となります。
ですから、軽度遠視の人のかける眼鏡は、見えないものを見えるように、視界を良くする眼鏡ではなく、眼の疲れを取る眼鏡です。従って、一日中掛けていてほしい眼鏡というわけです。強度遠視の人の場合は、遠くも近くも見えにくくなってしまいますが、遠視の眼鏡をかけて遠視の矯正をすれば、十分な視力が得られ、目が疲れにくくなります。
●40歳前後の方と遠視
40歳前後になると、近くを見るのが最近つらくなった、老眼になったのだろうか?という方が増えてくると思います。症状的からすると、老視のようなのですが、まだ老視と言うには早すぎる年齢です。こういった方たちには、ほとんど、遠視が考えられます。ですから、遠視の矯正をするだけで、近くが楽に見えるようになります。この場合はもちろん、老眼鏡でなくて、一日中かけてほしい遠視の常用眼鏡です。
●内斜視と遠視矯正メガネ
遠視の度数が弱い場合には、眼位は正常ですが、子供さんに多い、強度の遠視の場合、調節に伴い、目を内に寄せる運動刺激が強くなり、眼が内側に寄る内斜視が起こります。これは、「調節性内斜視」というもので、遠視のメガネを常にかけることで、眼の位置も普通に戻ります。もしも、お子さんの眼に内斜視がある場合は、すぐに眼科で検査を受けることが大切です。
遠視は、近視とは逆に、焦点が網膜より後にある状態のことを言います。従って、遠視の人は、遠くの物を見る場合でも、水晶体を厚く調節して、ピントを合わせる必要があります。正視の人は、焦点が網膜上にあるため、普通の状態で遠くの物が見えて、これが理想的な目です。遠視の目の人が近くの物を見る時は、水晶体をさらに厚くする必要があり、正視の人に比べ、非常に疲れやすい目である場合がほとんどです。
老眼には、焦点の位置は関係ありません、水晶体を調節する毛様体筋がおとろえた状態か、あるいは、水晶体自体の弾力性が少なくなってしまった状態のことを言います。加齢によって、毛様体の筋肉が衰えてしまい、水晶体を厚くする事が出来なくなると、ピントが近くに合わなくなります。近視の人の場合でも、老眼になります。近視の人が、メガネやコンタクトを付けた状態でも、近くの物が見えづらければ、立派な老眼なのです。
ただ、メガネを外せば、水晶体を厚くしなくてもピントが近くに合うのが近視なので、自分が老眼であると自覚出来ていない人も多いかもしれません。近視であり、老眼でもある人も、実はとても多いのです。遠近両用レンズというものがありますが、これは、近視で老眼である人のために、レンズの上の方が近視用、下の方は度数を下げ近くの物を見やすくしたレンズです。
近くの物を見る機会が多く、近視になるとすれば、近視の人の場合は、毛様体が鍛えられて老眼になりづらそうに思えますが、実際にはなってしまいます。近視は、眼球が変化することによって、毛様体が鍛えられ過ぎて、近視になるというわけではありません。
年をとった人の眼の調整力は、赤ちゃんに比べると、たった10分の1ほどだそうです。眼の加齢による老眼は、歳をとることによって、誰でも現れる症状なので、病気ではありません。外からの光がまっすぐ眼に届いて、水晶体と角膜で2回屈折して角膜にピントが合うのです。遠くから届いた光は真っ直ぐですが、近い距離から届く光は、平行ではないので、拡散しながら目まで届きます。
眼は、このように、近い距離からの拡散する光に対してでも、ピントを合わせています。つまり、近くの物を見ているのです。つまり、当然、真っ直ぐな光の時とおなじ屈折力では、網膜上にきちんとピントを合わせることが出来ません。そこで、角膜の形を変えることは出来ないので、可変性のある水晶体を薄くしたり、厚くしたりしながら屈折力の調節をし、網膜上にピントをあわせているのです。
ところが、水晶体が調整をする力は年齢により変化しています。例えば、生まれたばかりの赤ちゃんの場合では、ピントは非常に近接した10センチ程から、無限にまで、あわせることが可能です。それほど、赤ちゃんは、柔軟に水晶体の厚さを変えることが出来るのです。
眼がピントを合わせることの出来る幅のことを、調整力という言葉で表します。赤ちゃんの場合、およそ20Dの調整力があるといわれています。ところが、調整力は、ハタチ前後で10D、つまり半分にまで低下してしまいます。さらに、50歳を過ぎたあたりの熟年層になると、3Dや2Dという、とても低い数値まで落ちてしまうのです。

